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知られざる傑作(Le Chef-d'œuvre inconnu / Honoré de Balzac 1831)

知られざる傑作―他五篇 (岩波文庫)知られざる傑作―他五篇 (岩波文庫)
(1965/01)
バルザック

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本日紹介する本は,岩波文庫の“知られざる傑作”です.言わずと知れた,“人間喜劇”で知られるバルザック(1799-1850)の短編集.

砂漠の情熱
ことづけ
恐怖時代の一挿話
ざくろ屋敷
エル・ベルデゥゴ
知られざる傑作

の6作品で構成されています.“恐怖時代の一挿話”を除けば,すべて愛の話と言って良いと思います.ただ,その愛は全てどこか“屈折”しています.対象が動物だったり,人妻だったり,絵画だったり...
大半は面白い小説として楽しめます.でも,気付けば妙に共感できる作品が一つはあるのでは.
これだけ,様々なタイプの愛を巧みに描き切るバルザック.人間の内面の観察力は素晴らしいですね.
と言いつつ,個人的に一番面白かったのは“恐怖時代の一挿話”.ある程度先の読めるストーリーですが,フランス革命の動乱の中の人間の苦悩に惹きつけられました.
一作一作も短く,ストーリーもしっかりしており非常に読みやすいです.普段小説を読まない方にもお薦めできる短編集かと思います.

Evaluation
Interest: ★★★☆☆
Culture: ★★★☆☆
Readability: ★★★★☆
Reread: ★★★☆☆

Total: ★★★☆☆

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ベニト・セレノ(Benito Cereno : Herman Melville 1855)

バートルビー/ベニト・セレノバートルビー/ベニト・セレノ
(2011/01/10)
ハーマン・メルヴィル

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以前に紹介した“バートルビー”と一緒に収録されている作品.昨年復刊された岩波文庫版でも,同時期の中編ということもあり一緒に収録されていますので,比較的手に入りやすいです.

あらすじ
あまり人を疑わない“善良”な心の持ち主のデラーノ船長は,航海の途中で一隻の漂流船を発見する.救助に当たったデラーノの前に現れたのは,黒人の従僕を従えた漂流船のスペイン人船長ドン・ベニートと大量の黒人奴隷たちであった.救助を感謝しつつも,何かを企んでいそうなベニートの雰囲気に,能天気なデラーノも不安を感じるが...

バートルビー”が非常に奥が深く,完全に理解することが困難な作品であるのに対し,こちらの“ベニト・セレノ”は一言で言えばミステリー作品であり,非常に読みやすいです.とはいっても,世界の文豪ハーマン・メルヴィル(1819-1891)が描くミステリー.人物描写は非常に素晴らしい.船員や奴隷たちの仕草一つ一つに緊張感が満ちており,一体次に何が起きるのかとドキドキしっぱなしです.そして文体も流れる様に美しく,一気にこの心理サスペンスの世界にはまり込んでいきます.
もちろん,メルヴィルは推理作家ではありませんから,複雑なトリックや謎解きがある訳ではありません.
ただ,こんなミステリーの中にさえ人間の本質とは何かに関する問いを込めてくるところは流石だなぁと感じます.
何が善で,何が悪か.“善良”と表現されるデラーノ船長が人の心を見抜くことのできない,“愚者”として描かれている感じがあるところも読みどころです.

メルヴィルの作品の中では,文句なく一番読みやすい作品でしょう.奥の深さでは“バートルビー”に譲りますが,その読みやすさは代え難く,推理小説が好きな人も,そうでない人も一度は読む価値があります.

Evaluation
Interest: ★★★★★
Culture: ★★★☆☆
Readability: ★★★★★
Reread: ★★★★☆

Total: ★★★★☆

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バートルビー(Bartleby : Herman Melville 1853)

バートルビー/ベニト・セレノバートルビー/ベニト・セレノ
(2011/01/10)
ハーマン・メルヴィル

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メルヴィルといえば“白鯨”ですが,その他にも彼には傑作が数多くあります.以前紹介した“ビリー・バッド”は言うまでもありませんが,この“バートルビー”と近々紹介する“ベニト・セレノ”も中々味わい深い傑作です.

あらすじ
弁護士事務所を経営する私のもとに,ある日一人の男が現れる.“バートルビー”と言う名のその男は,当初黙々と代書の仕事をこなしていた.ある日私が,代書した内容の確認を一緒に行うように指示すると,"I would prefer not to...".代書以外の仕事を彼に頼むと全て"I would prefer not to..."と答えるのであった.そして,ある日から代書の仕事さえしなくなってしまう...

読めば読むほど奥の深い作品です.全てを拒否する男バートルビー.最後には考えることも,生きることも拒否してしまいます.読んでいると,彼の姿に一瞬キリストが重なりますが,やはり何か違う...
彼は何一つ決定することが出来ません.決定することを拒否してしまうのです.この不条理な作品で一体メルヴィルが何を言いたかったのか...
分かりません.あと10回くらい読んだら分かるかも.

カフカが好きな人は結構気に入りそうな作品です.短編ですので一瞬で読めるし(理解は出来ませんが),お薦めです.


Evaluation
Interest: ★★★★☆
Culture: ★★★★☆
Readability: ★★★☆☆
Reread: ★★★★☆

Total: ★★★★☆

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黄色い壁紙(The Yellow Wallpaper : Charlotte Perkins Stetson Gilman 1892)

淑やかな悪夢 (創元推理文庫)淑やかな悪夢 (創元推理文庫)
(2006/08/30)
シンシア・アスキス他

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うーん,なんでこの本を読もうと思ったのか,今一思い出せません.確か誰かに“黄色い壁紙”という作品を薦められたのだと思いますが,買ってからしばらく放置していたので...
この本は,英米女流怪談集と銘打たれており,

追われる女 シンシア・アスキス
空き地 メアリ・E・ウィルキンズ‐フリーマン
告解室にて アメリア・B・エドワーズ
黄色い壁紙 シャーロット・パーキンズ・ギルマン
名誉の幽霊 パメラ・ハンスフォード・ジョンソン
証拠の性質 メイ・シンクレア
蛇岩 ディルク夫人
冷たい抱擁 メアリ・E・ブラッドン
荒地道の事件 E&H・ヘロン
故障 マージョリー・ボウエン
郊外の妖精物語 キャサリン・マンスフィールド
宿無しサンディ リデル夫人

の12編の怪談で構成されています.まぁ,普段あまり興味のない分野なので,正直そこまでは楽しめませんでした.もしかしたら,怪談って文化の違いが如実に出るのかもしれませんね.怖くとも何ともなく,あまりピンとこない作品が多かったです.
強いてお薦めを言えば,確かに“黄色い壁紙”でしょうか.医者である夫により,精神の安定のため屋根裏に隔離された女が,徐々に狂気にむしばまれていく様子が描かれています.狂いかけた妻の独白という形で物語が進んでいくところも面白かったです.
短編としては確かに魅力的ですが,同じようなジャンルでいえば,個人的にはヘンリー・ジェイムズの“ねじの回転”に軍配を上げますね.

それ以外でお薦めは,最後の“宿無しサンディ”.悪魔に取引を持ちかけられた牧師の話.オチの付け方は,結構好きでした.

怪談好きには,薦められますが...それ以外の人は,興味があれば読んでみて下さい.お薦めした2作位は読んでも損はないと思います.

Evaluation
Interest: ★★☆☆☆
Culture: ★★☆☆☆
Readability: ★★★★☆
Reread: ★☆☆☆☆

Total: ★★☆☆☆

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椿姫(La Dame aux Camélias : Alexandre Dumas fils 1848)

椿姫 (新潮文庫)椿姫 (新潮文庫)
(1950/12)
デュマ・フィス

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やっぱり恋愛といえばフランス(!?)ですかね.このデュマ・フィス(1824-1895)の“椿姫”や,この前紹介したロスタン)の“シラノ・ド・ベルジュラック”を読むとそう思ってしまいますね.本当に美しい物語です.

あらすじ
娼婦でありながらも,どことなく漂う高貴さと,椿の花をこよなく愛するところから“椿姫”と呼ばれたマルグリット・ゴーティエ.奔放に暮らしていた彼女の生活は,純情すぎる青年アルマンとの出会いにより大きく変化していく.真実の愛に目覚めたマルグリットであったが...

 結ばれることのない,愛し合う2人を描いた物語.悲恋といえば悲恋ですが,この叶うことのなかった恋愛によってマルグリットは真に人を愛することを知り,短い間とはいえ,夢に見ることもなかった幸せを経験しました.この真実の愛により,彼女がどんどんと真に美しい存在へと変化していく過程の描写が素晴らしく魅力的です.そして,最後は聖女のように去っていきます.

 一方のアルマンは,マルグリットを愛する気持ちは強くても,自分のことで精一杯.恋に恋する乙女(?)の様です.彼が真にマルグリットへの愛に目覚めるのは,彼女を永遠に失ってから.男ってやつは...

この話に基づいた歌劇“La Traviata”も素晴らしいですが,この原作もお薦め.

ヴェルディ:椿姫(日本語字幕付き) [Blu-ray]ヴェルディ:椿姫(日本語字幕付き) [Blu-ray]
(2008/11/12)
アンジェラ・ゲオルギューラモン・ヴァルガス

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Evaluation
Interest: ★★★★★
Culture: ★★★★☆
Readability: ★★★★★
Reread: ★★★★★

Total: ★★★★★

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