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犬の心臓 ( Heart of a Dog : Mikhail Bulgakov 1968 )

犬の心臓 (KAWADEルネサンス)犬の心臓 (KAWADEルネサンス)
(2012/01/24)
ミハイル・A・ブルガーコフ

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気付けば,忙しくて1年半ほどブログを放置してしまっていた...昔見てくれていた人たちも流石にもういないか..
4月からの転勤で,久しぶりにゆっくり本を読む時間ができたので,ボチボチ再開していきます.

再開第1弾は

ブルガーコフ(1891-1940)の"犬の心臓".
久しく読書ができていなかった人間のリハビリにはやっぱりブルガーコフ.ちょっとおどろおどろしい雰囲気ですが,一気に引き込まれ,1日で読み切りました.

あらすじ
街で寒さと飢えに震えていた野良犬のシャリクは,死も覚悟したある日,病院の匂いのする紳士に拾われる.暖かい家と美味しい食事にありついたシャリクであったが,彼の知らないところである実験が行われようとしていた...

って感じの話です.実際にはロシア革命後の体制を揶揄した作品のようですが,この作品に関しては,そんな小難しいことは抜きにして,純粋に幻想小説として楽しむのがよいと思われます.シャリクの変容していく様,彼の巻き起こす騒動は,恐ろしくも,少しニヤッと笑ってしまいます.
感の良い人なら予想できてしまう結末も,テンポがよく,物語の語り部を巧みに入れ替えることで飽きさせずに読ませ切ります.
あと,この物語のキーパーソンはアパートの管理委員のシヴォンデルという男.ソビエト新体制に従順な市民のこの男は,徹底的に教養のない無能な男として描かれます.これは,旧ソ連では出版できないなと納得.
それでも時代が変わり,この作品が日本で楽しめるようになったことは喜ばしいことですね.ゴルバチョフ偉い!!

普段,本を読まない人でも楽しめる作品だと思います.
注意点としては,電車の中でカバーをせずに読んでいると,知らない人からはちょっと趣味の悪い人と思われる危険があることくらいでしょうか...


Evaluation
Interest: ★★★★★
Culture: ★★★☆☆
Readability: ★★★★★
Reread: ★★★☆☆

Total: ★★★★☆

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テーマ : オススメの本 - ジャンル : 本・雑誌

動物農場(Animal Farm : George Orwell 1945)

動物農場 (角川文庫)動物農場 (角川文庫)
(1995/05)
ジョージ・オーウェル、George Orwell 他

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1984年”のジョージ・オーウェル(1903-1950)のもう一つの代表作“動物農場

あらすじ
ジョーンズ氏の経営する荘園農場で,ある夜秘密の会合が行われる.集まったのは農場の動物たち.そこで,豚の長老のメージャー爺さんが,人間のいない動物たちの理想郷について語る.そして,月日は流れ,ついに革命が起こる.当初は順調にいくかと思われた,動物たちの楽園に徐々に変化が生じていく...

この作品は,登場人物を動物たちを置き換えた寓話です.ある特定の人間にしなかったゆえに,人間の普遍的な性質を見事に表しています.権力を握ったもの,権力者に上手く取り入るもの,盲目的に権力者を信じるもの,疑いながらもただ流されていくもの...
農場の動物たちは,まさに人間社会の縮図です.人間を追放することによって,自分たちがその人間のようになっていくというのは,皮肉なものです.
20世紀前半の作品ですが,その本質は今でも全く色褪せていません.そして,この作品の流れは“1984年”へと続いていきます.

短く,読みやすいのでお薦めです.

Evaluation
Interest: ★★★★★
Culture: ★★★★☆
Readability: ★★★★★
Reread: ★★★★☆

Total: ★★★★★

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モレルの発明(La invención de Morel : Adolfo Bioy Casares 1940)

モレルの発明 (フィクションの楽しみ)モレルの発明 (フィクションの楽しみ)
(2008/10)
アドルフォ ビオイ=カサーレス

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アルゼンチンを代表する作家アドルフォ・ビオイ=カサーレス(1914-1999)の代表作“モレルの発明”.ラテンアメリカ文学の最高傑作の一つとする人も多い作品です.

あらすじ
無実の罪で追われる逃亡者の“私”は,疫病が蔓延り,誰も近づかないといわれる孤島へ渡る.そんなある日,無人のはずの島に数人の男女が突然現れる.彼らに見つからないように隠れながらも,“私”はそのうちの一人の美しい女性に心を奪われていく...

ボルヘスによる序文の通り,筋の通った非常に読みやすい小説です.かといって,薄っぺらいかというとそうでもありません.南米の幻想小説らしく,ルルフォの“ペドロ・パラモ”のように,生と死,正常と狂気,永遠と一瞬が入り混じり混沌としています.また,“私”が何故追われているのかなどの,細かい設定は全く説明されません.その辺はややカフカ的でしょうか.ただし,この作品では一応スッキリと結末に向けて話をすすめてくれるので,読み終わった後味は比較的良いです.

反覆される人生を見るのに慣れると,逆に,自分の人生は手がつけられぬほど偶然だらけだという気になる... 
 ...一瞬一瞬がかけがえのないものであり,かつ他の一瞬と違う.しかも,ぼんやりとして意味もなく過ごしてしまう時間の,何と多いことか...



好き嫌いは分れそうな作品ですが,マルケスなどの作品に抵抗が無ければ楽しめると思います.

Evaluation
Interest: ★★★★☆
Culture: ★★★☆☆
Readability: ★★★★★
Reread: ★★★☆☆

Total: ★★★★☆

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奇岩城(L'aiguille Creuse : Maurice Leblanc 1909)

奇岩城 (アルセーヌ・ルパン全集 (4))奇岩城 (アルセーヌ・ルパン全集 (4))
(1982/03)
モーリス=ルブラン

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久しぶりにルパン.今回は代表作の“奇岩城”.主役は...ルパンというよりは,彼を追い詰める高校生探偵のイジドール=ボートルレ君です.

あらすじ
ジェーブル伯爵邸に何者かが侵入.あとには,伯爵の秘書の無残な姿が残されていた.逃走する男に向かって,伯爵の姪レーモンドが発砲.見事に命中したかに思ったが,そこに男の姿はなかった.そして,強盗事件として捜査が始まるが,不思議な事に盗られたものは何一つなかったのである.この不可思議な事件の謎に,偶然居合わせた高校生ボートルレが挑む...

という感じですが,このあらすじは本当に冒頭だけです.この小さな事件にはじまり,次から次へと話が展開していきます.そして,最後には歴代フランス王家の財宝まで..とにかく展開がスピーディーで面白い.冒険あり,暗号あり,恋愛あり...
この暗号解けますか↓
暗号

高校生の探偵が事件を解決するなんて設定だけで見ると,日本のマンガにありがちな感じかもしれませんが,大人も十分に楽しめる内容.
その理由は何と言っても,ルパンのキャラクターでしょう.愛する女の為なら,全てを捨てようとする最高に粋な男です.
そして,最後のほろ苦い悲しい結末.ルパン可哀想...

もう一つの楽しみは,シャーロック・ホームズの扱いの酷さ.ルパンシリーズに出てくるホームズは,すぐにルパンに出し抜かれる3枚目な役回りに加え,本当に嫌な奴です.この作品でもとにかくひどい扱いなので,シャーロキアンは読まない方が良いかも.
もともとは,ドイルに怒られてエルロック・ショルメ(Herlock Sholmès)という名前に変えていたみたいですけど...日本では分かりづらいからホームズに戻してしまっているみたいですね.

エンターテイメントの要素満載の作品.頭を使わずに読めるので,難解な本の合間にお薦めです.
きっとルパンが好きになる.

Evaluation
Interest: ★★★★☆
Culture: ★★☆☆☆
Readability: ★★★★☆
Reread: ★★★☆☆

Total: ★★★☆☆

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城(Das Schloss : Franz Kafka 1922)

城 (カフカ小説全集)城 (カフカ小説全集)
(2001/03)
カフカ

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カフカ(1883-1924)最後の長編小説の“”.当然の如く(?),カフカらしく未完で終わります.
この作品は,あらすじが書きづらい...それでも強いて書けば,

Kは夜おそく村に着いた...
そこはヴェストヴェスト伯爵領の村.測量士のKは仕事で招かれたのだ.しかし,その村では測量士など必要とはされていなかった.よそ者のKは,自分の立場を明らかにするため城を目指す...

とにかく,城にはたどり着きません.何百ページかかっても.途中から,Kの目的は城の重役のクラムと直接話すことへと変わっていきますが,それすらも全く叶う見込みはありません.
そもそも,名前だけは出てくる城の関係者が実在するのかも不確かです.主人である伯爵自体が冒頭に名前が少し出てくるだけで,後は全く登場しません.
重要人物であるクラムも,実際に姿が描かれるのはKが覗き穴から見た横顔だけ.後は全てが噂話.
城,伯爵,クラム...存在するのか,しないのか.
そんな不確かな存在に,盲信的といってよい程に支配される村人たち.

更には,主人公であるK自身も詳細は全く分りません.“測量士”ということにはなっていますが,村には仕事道具一つ持ってきていません.どこからきて,それまで何をしていたのか.とにかく,細かい状況説明なしに,読者はどこか現実世界とはずれた異空間に放り出されます.
この不思議な世界に引き込まれれば良し.そうでなければ,とても読み切ることは難しいでしょう.何せ,その後も大した出来事は起きませんから.

登場人物は,クラムの元愛人で,Kの婚約者となるフリーダや,怪しげな2人の助手,厭味な村の教師など,少し異常なキャラクターが満載.
この村で最も正常の感覚に近いのが,クラムの使者を務めるバルナバスの家族.しかし,彼らは村八分の存在.この世界にどっぷり浸ると,自分が逆に異常な気がしてくるかも.

カフカはこの作品で何が言いたかったのでしょうか.宗教?政治?ユダヤ人であることも関係しているのでしょうか...
個人的には好きな作品ですが,万人にお薦めは出来ない作品.最初に読んだら,小説を読むのが苦痛になりそう.

Evaluation
Interest: ★★★☆☆
Culture: ★★★★☆
Readability: ★★★☆☆
Reread: ★★☆☆☆

Total: ★★★☆☆

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