スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

悲しみを聴く石(Syngue sabour:Atiq RAHIMI)

悲しみを聴く石 (EXLIBRIS)悲しみを聴く石 (EXLIBRIS)
(2009/10)
アティーク ラヒーミー

商品詳細を見る
大晦日に仕事をしなくてはいけなくなってしまったせいで,本日までに大掃除を終わらせなくてはいけなかったため大忙し.ブログの更新もままなりませんでした.
そのストレスからか,本屋に行って気になった本を大人買い.そのうちの一冊を読み終わったので感想を書きます.

アティーク・ラヒーミー(1962-)というアフガニスタン・カブール生まれの作家の“悲しみを聴く石”という作品です.また知らない作家...フランスでゴンクール賞という日本でいえば芥川賞みたいなものでしょうか?を受賞した期待の若手作家みたいです.
今回この本を買ったのは,白水社から出ているこのEXLIBRISというシリーズが河出書房の世界文学全集の陰に隠れた感はありますが,とても渋くていい本を揃えているからです.
読んでみるとなかなか面白い.結局買ってきたその日に読み終わってしまいました.

舞台は明記されていませんがアフガンを想像させる内乱が続く地区.登場人物はほんの数人です.メインは仲間内の喧嘩でいわゆる植物状態になった元戦争の英雄と,一人でその夫を世話する妻だけです.そして話はほとんど全て夫が寝かせられた部屋の中だけで進んでいきます.とても静かな部屋.静寂が支配しています.それに対比し,外では内戦が続いています.そんな中,妻は返事をしない夫に今まで言えなかった話を打ち明けていきます.ペルシア神話で人々が苦しみや悩みを打ち明ける魔法の石“サンゲ・ザブール”に対するように...

結末にはドキッとさせられますが,この本の一番のポイントは祖母が主人公の妻に対して話したという昔話でしょうか.

“昔々,魅力的で勇敢な王様がいました.その王様には一つの掟があり,それは娘が生まれたら王座が汚れるため殺さなくてはいけないというもの.しかし生まれてくるのは娘ばかり.王妃は3人目の娘を連れて死刑を執行するはずだった男を供に逃げ出します.王妃は王の知らない土地で女王として国を築きます.しかし,ついに王はその国にまで侵略の手を伸ばします,誰の国かは知らずに.女王は王との交渉は拒否.当然娘には父親ということは隠します.母の行動が理解できない姫はこっそりと王との和平交渉に向かいますが,親子と知らない2人はそこで結ばれてしまいます.二人が会ったことを知った母親は嘆きのあまり気を失い,娘はお供の死刑執行人から真実を聞きます...
真実を王に話せば母娘とお供の男は絞首刑になり,国民は奴隷となる.王の求めに応じなければ,国は焼き払われる.王と結婚すれば近親相姦の罪を犯すことになり,神の裁きをうけることになる....”


この昔話には結末がありません.この結末を知ったものはあらゆる不幸から逃れられるそうです.なにが一番良い結末の迎え方なのか,そのヒントは書いてあります.一つは幸せな結末を迎えるためには人生同様犠牲が必要であるということ.そして,この話の中で誰が許す力を持っているかということ.あとは読者が判断をしなくてはならないのでしょう.この問題を考えるだけでも読む価値があると思います.
個人的には許す力を持つのは“神”なのではないかと思いますが.

この人の他の本も読んでみたいと思わせる作品でした.

Evaluation
Interest: ★★★☆☆
Culture: ★★★☆☆
Readability: ★★★★☆
Reread: ★★★☆☆

Total: ★★★☆☆

にほんブログ村 本ブログ 海外文学へ
にほんブログ村
スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。